転職会議の事例の紹介

目次

転職会議の事例の紹介




事例(1)

「とにかくパワハラ最悪。」「精神病んで辞める人多数でいつ訴えられてもおかしくない社長でした。」と書き込まれた!

東京地判平成28年9月7日(平成27年(ワ)第35465号)

本件においては、インターネット上のウェブサイト「転職会議」に投稿された以下の匿名の記事によって、原告らの名誉権が侵害されたかが争点となりました。

【問題となった表現】

本件記事〔1〕:

「とにかくパワハラ最悪。」
「気分屋すぎて仕事にならない。」

本件記事〔2〕:

「出来ないような無理難題ばかり押し付け当然出来なければキレる(笑)」

本件記事〔3〕:

「精神病んで辞める人多数でいつ訴えられてもおかしくない社長でした。」

本件記事〔4〕:

「後,ものすごく不潔でした。」
「社長の臭いでも気分悪かったです。」
「とにかくオススメできません。」

【裁判所の判断】

本判決は上記の各記事(投稿としては全部1つのものの一部)について、以下のとおり、社会的評価を低下させるか個別に検討した上で、本件記事が1回の投稿であることを認め、記事全体として事実摘示があり、原告らの社会的評価を低下させるものであると判断しました。

(本件記事〔1〕について)

「本件記事〔1〕の前段部分(「とにかくパワハラ最悪」)は,抽象的な記載であり,原告会社の代表者によるパワハラの具体的な事実及び態様を摘示するものではない。しかし,原告会社において,その代表者が従業員に対し頻繁にパワハラに該当する行為を行っているという事実が摘示されているものと解することができる。会社の中でパワハラが頻繁に行われていることは,その会社の評価を低下させることになるということができる。

 本件記事〔1〕の後段部分(「気分屋すぎて仕事にならない」)は,原告会社の代表者が感情に左右され仕事の遂行に支障が生ずるという事実を摘示するものと解することができる。しかし,実際に仕事に支障が生ずるのであれば,会社として成り立っていかないのであり,後段部分は,投稿者の単なる不平不満を述べたものであることは容易に理解できるといえ,原告会社の社会的評価を低下させるものではない。」

(本件記事〔2〕について)

「本件記事〔2〕の前段部分(「出来ないような無理難題ばかり押し付け」)は,原告会社の代表者が客観的に遂行できない内容の業務を従業員に強制しているという事実を摘示しているものと解される。しかし,原告会社の代表者が従業員に無理難題ばかり強制しているとなれば,原告会社の業務は停滞するはずで,代表者がそのようなことを要求するとは考え難いという認識を持つのが通常であり,これを読んだ一般人は,投稿者の不平不満にすぎないと認識すると解される。したがって,当該部分の記載によって原告会社の社会的評価が低下することはない。 本件記事〔2〕の後段部分(「当然出来なければキレる(笑)」)は,原告会社の代表者は,従業員が無理難題ができなければ,怒り出すという事実を摘示していると解される。しかし,無理難題を要求するということが考え難いことは前記のとおりであり,無理難題でない仕事を従業員が行わない場合に指導を行うことは当然であって,これを読んだ一般人は,投稿者の不平不満にすぎないと認識すると解される。したがって,本件記事〔2〕は原告会社の社会的評価を低下させるものではない。」

(本件記事〔3〕について)

「本件記事〔3〕の前段部分(「精神病んで辞める人多数で」)は,原告会社においては,代表者のパワハラなどにより,多数の従業員が,精神を病んで退職しているという事実を摘示するものと解される。代表者がパワハラを行う会社であるということは,原告会社の社会的評価を低下させることは前示のとおりである。そして,多数の従業員がそのパワハラにより,精神を病んで退職しているという事実は,原告会社が職場環境として劣悪な会社であることを想起させ,原告会社の社会的評価を低下させるものということができる。」   「本件記事〔3〕の後段(「いつ訴えられてもおかしくない社長でした。」)は,投稿者の意見を述べたものにすぎず,事実の摘示ということはできない。 これに対し,被告は,会社には合わない人と合う人がいるのは周知の事実であり,投稿者と合わない人がいたとしても原告会社自体の評価を下げるものではないと主張する。しかし,本件記事〔3〕は,代表者自身がそのような問題のある人物であることを示しており,原告会社自体の評価に直結する記載であるということができ,被告の上記主張は採用できない。」

(本件記事〔4〕について)

「本件記事〔4〕の前段部分(「後,ものすごく不潔でした。」)は,原告会社の職場環境が不潔であることを摘示していると解される。不潔とは評価を要する概念ではあるが,清掃が不十分であるなどの事実を示すものと解することができる。そうすると,一般人は,上記記事により,職場環境が悪いということを想起し,原告会社の社会的評価を低下させるものといえる。このように,原告会社の評価を下げるものであり,原告Aの社会的評価を低下させるものとはいえない。 本件記事〔4〕の後段部分(「社長の臭いでも気分悪かったです。とにかくオススメできません。」)は,従業員が原告Aが発する体臭によって気分が悪くなったという事実を摘示するものと解される。この事実は,原告Aが体を清潔にしていないか衣服を洗濯していないということを想起させ,原告Aの社会的評価を低下させるものということができる。このように上記記載は,原告Aの評価を下げるものであり,原告会社の社会的評価を低下させるものではない。また,本件記事〔4〕の最後の部分(「とにかくオススメできません」)は,投稿者の意見を述べたものにすぎず,事実を摘示するものではない。」

(5)

「(5)上記のように,各記事を個別にみると,事実摘示のないもの,社会的評価を低下させるものでないものもあるが,本件記事は1回の投稿であることが認められ(甲3),記事全体として事実摘示の有無,社会的評価の低下の有無を判断すべきである。 原告会社に関しては,上記検討の結果からすると,その代表者が従業員に対し頻繁にパワハラに該当する行為を行い,そのため会社では精神を病んで退職している従業員が多数いるとの事実及び会社の職場環境が不潔であるとの事実が摘示されていると解され,いずれも原告会社の社会的評価を低下させるものといえる。 原告Aに関しては,上記検討の結果からすると,原告Aが発する体臭によって従業員が気分が悪くなったという事実が摘示されているものと解され,原告Aの社会的評価を低下させるものといえる。 以上のとおり,本件記事により,原告会社及び原告Aの権利が侵害されたことは明らかであるということができる。」

 そのうえで、本件記事による摘示事実の真実性を否定して違法性阻却事由が存在しないと判断し、かつ、本件記事が意見ないし論評には当たらないと判断して、原告らの発信者情報開示請求を認めました

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事例(2)

「社長の気分によりいきなりクビになる人を何人も見てきた。」「辞めたくても脅されて辞めれない人もいた。」と書き込まれた!

東京地判平成28年12月12日(平成28年(ワ)第31032号)

本件においては、インターネット上のウェブサイト「転職会議」に投稿された以下の匿名の記事によって、原告らの名誉権が侵害されたかが争点となりました。

【問題となった表現】

本件投稿:

「【良い点】
社員にはいい人が多い。
こんな会社もあるのだとある意味いい経験になった。

【気になること・改善したほうがいい点】
離職率が非常に高く,社長の気分によりいきなりクビになる人を何人も見てきた。また辞めたくても脅されて辞めれない人もいた。
全体的に見て明らかにワンマン企業である。
福利厚生などは全く整っておらず,ボーナスは出るが寸志。長く勤めたい人には向いていない。
以上」

【裁判所の判断】

まず、本判決は、本件投稿につき、以下のとおり、原告の社会的評価を低下させるものであると判断しました。

「一般読者の普通の注意と読み方を基準として判断すれば,本件投稿のうち「社長の気分によりいきなりクビになる人を何人も見てきた」との部分は,原告においては社長の恣意的判断による即時解雇が少なからず見られ,労働法制が遵守されていないとの印象を与えるものであって,原告の企業としての社会的評価を低下させるものといえる。同様に,「辞めたくても脅されて辞めれない人もいた」との部分は,原告においては脅迫による退職妨害も見られ,やはり雇用管理が不適切な企業であるとの印象を与えるものであって,同様に原告の社会的評価を低下させるものといえる。 被告は,「社長の気分によりいきなりクビになる人を何人も見てきた」との部分につき,どのような理由ないし意味で原告の社会的評価を低下させているのか不明である,「辞めたくても脅されて辞めれない人もいた」との部分につき,告知されていた害悪の具体的内容が記載されていないとして,これらの各部分が原告の社会的評価を低下させるものとはいえないと主張するが,告知されていた害悪の具体的内容の記載の有無等にかかわらず,これらの部分は上記のとおりの印象を与えるものと解されるのであるから,この点に関する被告の主張は採用することができない。」

そのうえで,本件投稿の送信に違法性阻却事由の存在はうかがわれないとし,原告の発信者情報開示請求を認めました

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事例(3)

「とにかく社長の言う事は1日、2日ですぐ変わるので付いていくのが大変です。」「男尊女卑の傾向が強い社長なので、女性は働きにくいですね。」と書き込まれた!

東京地判平成27年1月27日(平成26年(ワ)第23041号)

本件においては、インターネット上のウェブサイト「転職会議」に投稿された以下の匿名の記事によって、原告らの名誉権が侵害されたかが争点となりました。

【問題となった表現】

本件投稿1:

「夜遅くまで残業をすることも多いので,あまり家事やプライベートとの両立はできないと思います。校了後は一度手があくこともあり、早めに帰ることができますが早めに帰れば帰ったで「仕事していない、手を抜いている、周りに歩調を合わせていない」と言われ、残業が続けば「こだわりすぎだ、経費節約しろ」と言われます。とにかく社長の言う事は1日、2日ですぐ変わるので付いていくのが大変です。それに周りの管理職の人たちもわかっていながら部下を守ってくれることはありません。こういう会社では、女性は仕事をしながらなど難しいと思われます。男尊女卑の傾向が強い社長なので、女性は働きにくいですね。」

本件投稿2:

「はっきりと言って、とても満足できる額ではありません。夜11時くらいまで残業していても、10時までの分しか精算されない制度になっているので、どんなに働いても給料はあがりませんでした。東京で1人暮らししていくのはやっとです。働いている時間、内容ともに反映されていません。賞与は夏が約1.7か月分、冬は2.7か月分ほどでした。ただ、事前にそのようにアナウンスしていても気に入らない部署の人や嫌いは人には、平気でマイナス20%なんてこともあったようです。賞与前の面談などはなく、賞与後に面談で評価を言われるので、まったく面談する意味がありません。決定される前に面談するからこそ意味があるのに……。結局社長の言いなりです。」

本件投稿3:

「会社のほとんどの社員が満足はしていないと思います。後継者として息子が入ってきたそうですが、未経験なのにいばっていると聞きます野で、息子さんくらいは満足しているのではないでしょうか? 被害妄想が激しく、こちらにはそんな気はなくとも「無下にされた」と激怒し、ついには「君には編集者としての素質がない」とまで言われました。だれも何も言わないのは満足しているからではなく、「言ってもムダ」だからです。2~3時間の説教はよくあるので、早く終わらせるために「はい、はい」と謝っている感じです。いわれのないことで退職させられたり降格させられた人を何人も見ました。」

【裁判所の判断】

まず、本判決は、本件投稿につき、以下のとおり、原告の社会的評価を低下させるものであると判断しました。

 (本件投稿1について)

 「本件投稿1は,一般読者の普通の読み方を基準とすると,〔1〕原告代表者が,従業員が早めに帰宅することを批判する発言をする一方,残業が多くなると残業の量を減らすように指示をするという首尾一貫しない発言をしたこと,〔2〕原告代表者が指示内容を1日,2日ですぐに変更するため,従業員としてその指示に従うのが困難であり,原告の管理職はそのことを理解しているにもかかわらず,原告代表者から部下を守ってくれないこと,〔3〕原告代表者は男尊女卑の傾向が強く,女性は原告で働きにくいことを摘示するものであり,原告の社会的評価を低下させるものである。 なお,被告は,〔1〕について,仕事には繁閑の波があり,原告代表者の各発言が矛盾するとか不合理であるとかいうことはできない旨主張するが,当該部分において,上記発言がそのような繁閑の波を前提としたものであることをうかがわせる記載はなく,上記主張は採用できない。」

(本件投稿2について)

 「本件投稿2は,一般読者の普通の読み方を基準とすると,〔1〕使用者が従業員の残業に対して残業代を支払うことは法律上の義務であるにもかかわらず,原告は,従業員が午後10時を過ぎて残業をしても,その分の残業代を支払わないこと,〔2〕原告代表者が気に入らない部署の従業員や嫌いな従業員の賞与につき,平気で20パーセント減額したことがあり,〔3〕賞与に関する面談をその支給後に行い,結局は原告代表者の独断により賞与を定めていることを摘示するものであるから,原告の社会的評価を低下させるものである。 なお,被告は,〔1〕について,原告において10時以降の残業を認めない制度をとっており,その結果として残業代が支払われないことの印象を想起させるにすぎないと主張するが,当該部分には,原告が残業の許可制をとっていることをうかがわせる記載はないから,上記主張は採用できない。」

(本件投稿3について)

 「本件投稿3は,一般読者の普通の読み方を基準とすると,〔1〕原告代表者の息子が後継者として原告に入社し,未経験なのに威張っているとの話を投稿者が聞いたこと,〔2〕原告代表者は被害妄想が激しく,会話の相手である発信者にその気がなくても「無下にされた」と激怒し,「君には編集者としての素質がない」と述べたこと,〔3〕原告代表者が発信者を含む従業員に対し,2~3時間説教することがよくあること,〔4〕原告代表者が何人もの従業員を恣意的に退職させ,又は降格させたことを摘示するものであり,従業員として,原告代表者又はその後継者と目される息子と接するのが困難であることをうかがわせるものであるから,原告の社会的評価を低下させるものである。」

 そのうえで、本件各投稿について違法性阻却事由の存在をうかがわせるような事情はないと判断し、原告の開示請求を認めました

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事例(4)

「査定の基準が何もなく,経営者の独断と偏見で成り立っている。」「社員の給料を時給換算すると,コンビニのアルバイトよりも低い事は間違いない。」と書き込まれた!


東京地判平成25年12月10日(平成25年(ワ)第7936号

本件においては、インターネット上のウェブサイト「転職会議」に投稿された以下の匿名の記事によって、原告らの名誉権が侵害されたかが争点となりました。

【問題となった表現】

本件投稿記事1:

「あまりにも酷いサービス残業が問題となり,2007年に労働基準監督署の監査が入り,労働条件の見直しを求められた。その後,改善する方向に向かうと思いきや,経営者は給料明細の名目を小細工し,抜け道を探ろうとするなど,全く反省の姿が見られなかった。
当然,社員の定着率は非常に悪く,入れ替わりの激しさはトップクラスである。」

本件投稿記事2:

「査定の基準が何もなく,経営者の独断と偏見で成り立っている。
二人の役員は,社員には過酷なサービス残業を求めるだけ求めて,対価を支払う気など全くない様子。社員の給料・賞与を削ってでも,自分たちの報酬額を維持しようとするなど,社員の事や,その家庭の事を考える気などさらさらない様子。
社員の給料を時給換算すると,コンビニのアルバイトよりも低い事は間違いない。」

本件投稿記事3:

「輸出企業ということで,円安時は追い風となるが,リーマンショックからの急激な円高基調になってからの逆風になると,社員には徹底的な経費削減を求め,また,赤字になろうとも,役員2人の報酬は依然がっぽりと取るなど,社員の将来,会社の将来のことなど全く考えていない。自分たちが儲けるだけ儲けて,厳しくなったら,会社を潰せばいいという考えを常に持っている。」

【裁判所の判断】

まず、本判決は、本件各投稿記事につき、以下のとおり、原告の社会的評価を低下させるものであると判断しました。

 (本件投稿記事1について)

本件投稿記事1は、「一般読者の普通の注意と読み方によった場合,〔1〕原告においてはサービス残業が余りに酷く,平成19年に労働基準監督署の監査が入り,労働条件の見直しを求められたこと,〔2〕しかし,その後も改善されていないこと,〔3〕社員の定着率が非常に悪く,入れ替わりが激しいことをいうものと解されるから,原告の社会的評価を低下させるということができる。」

(本件投稿記事2について)

 本件投稿記事2は、「一般読者の普通の注意と読み方によった場合,〔1〕原告においては従業員の査定に関する基準が何もなく,経営者の独断と偏見で成り立っていること,〔2〕2人の役員は,従業員に過酷なサービス残業を求めるだけ求めて手当を支払う気など全くないこと,〔3〕従業員の給料を時給換算するとコンビニエンスストアのアルバイトよりも低いことをいうものと解されるから,原告の社会的評価を低下させるものであるということができる。」

(本件投稿記事3について)

 本件投稿記事3は、「一般読者の普通の注意と読み方によった場合,〔1〕原告においては,赤字になっても,役員は多額の報酬を受けていること,〔2〕役員は,社員の将来や会社の将来のことを全く考えておらず,経営が厳しくなれば会社を潰せばいいという考えを常に持っていることをいうものと解され,原告の社会的評価を低下させるものである。」

 しかし、本件投稿記事1及び3については違法性阻却事由の不存在を認定することまではできず、原告の権利を侵害することが明白とはいえないとしました。

 他方で、本件投稿記事2については違法性阻却事由の不存在を認定し、原告の名誉ないし信用を毀損し、その権利を侵害することが明白であると認め、原告の開示請求を認めました

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事例(5)

「現在の社長が独裁者的でモラルハラスメントもありそれを理由に退職者もいます」と書き込まれた!

東京地判平成28年6月15日(平成28年(ワ)第4743号)

本件においては、インターネット上のウェブサイト「転職会議」に投稿された以下の匿名の記事によって、原告(株式会社の代表取締役)の名誉権が侵害され、原告(株式会社の代表取締役)の発信者情報開示請求が認められるかが争点となりました。

【問題となった表現】

本件投稿:

「現在の社長が独裁者的でモラルハラスメントもありそれを理由に退職者もいます」

【裁判所の判断】

本判決は、本件投稿につき、以下のとおり、原告(株式会社の代表取締役)の社会的評価を低下させるものであると判断しました。

本件投稿記事の内容は,本件会社について「現在の社長が独裁者的でモラルハラスメントもありそれを理由に退職者もいます」と記述するものであって,本件会社において,その代表者(社長)である原告がモラルハラスメントを行っていること,これにより退職者まで出現していることを具体的に摘示しており,また,原告をして独裁者的な人物であると評しているものであって、一般の閲覧者の普通の注意と読み方を基準としても,原告の名声,信用といった人格的価値について社会から受ける客観的評価を低下させるものであることは明らかである。

そのうえで、不法行為の成立を阻却する事由の存在をうかがわせるような事情は、存在しないとし、原告(株式会社の代表取締役)の発信者情報開示請求を認めました

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事例(6)

「残業地獄、給料安い、パワハラ当たり前の凄い会社」「募集要項に書いてある待遇、残業、福利厚生はまったく当てにならない」と書き込まれた!

東京地判平成28年9月2日(平成28年(ワ)第11153号)

本件においては、インターネット上のウェブサイト「転職会議」に投稿された以下の匿名の記事によって、原告(株式会社)の名誉権が侵害され、原告(株式会社)の発信者情報開示請求が認められるかが争点となりました。

【問題となった表現】

本件投稿1:

「【良い点】
このサイトで、評判が異常に良いこと

【気になること・改善したほうがいい点】
削除されたクチコミが16件もありますよね。
これは元社員の方々の、本当のクチコミです。
現実は、残業地獄、給料安い、パワハラ当たり前の凄い会社、
業界です。経験、資格、情熱等がないのなら、
ここの評判を見て、入社しない方がいいです。」

本件投稿2:

「【良い点】
募集要項では2次面接くらいまであるようなことが書いてあるが、
実際は即採用!ファミレスのバイトより簡単。

【気になること・改善したほうがいい点】
そんな会社なので、募集要項に書いてある待遇、残業、福利厚生はまったく当てにならない・・。やっとこのサイトでも本当のクチコミが増えてきました。担当者は冷や汗かいてるんじゃないですか」

【裁判所の判断】

本判決は、上記の投稿につき、以下のとおり、原告(株式会社)の社会的評価を低下させるものであると判断しました。

(本件投稿1について)

本件投稿1は,「残業地獄」,「パワハラ当たり前」と指摘しており,一般読者の普通の注意と読み方を基準にすると,〔1〕原告が,「地獄」と思えるほどの残業時間を従業員に強いる会社であること,すなわち,原告に違法な残業時間が相当程度ある事実,及び,〔2〕原告においてパワハラが常態化している事実が読み取れることから,本件投稿1が原告の社会的評価を低下させ,名誉権を侵害するものであることは明らかである。

(本件投稿2について)

本件投稿2は,「募集要項に書いてある待遇,残業,福利厚生はまった当てにならない」と指摘しており,一般読者の普通の注意と読み方を基準にすると,原告は虚偽の募集要項を出しているとの事実が読み取れることから,本件投稿2が原告の社会的評価を低下させ,名誉権を侵害するものであることは明らかである。

そのうえで、違法性阻却事由の存在をうかがわせる事情は見当たらないとし、原告(株式会社)の発信者情報開示請求を認めました

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事例(7)

「結果が全てなので、成績不振が続けば減給、降格。また書類ミス等ですぐ罰金を取られる。一定額に達したら違法になることを理解してやっているのだろうか。。。」と書き込まれた!

東京地判平成29年7月6日(平成27年(ワ)第29645号)

本件においては、インターネット上のサイト「転職会議」に投稿された以下の匿名の投稿によって、原告(派遣会社)の名誉権が侵害され、原告(派遣会社)の発信者情報開示請求が認められるかが争点となりました。

【問題となった表現】

本件投稿1:

投稿者が書き込んだ投稿者の属性
企業との関係:従業員,回答時の年齢:20歳-35歳
性別:女性,役職:正社員,該当時期:現在
「結果が全てなので、成績不振が続けば減給、降格。また書類ミス等ですぐ罰金を取られる。一定額に達したら違法になることを理解してやっているのだろうか。。。」

本件投稿2:

投稿者が書き込んだ投稿者の属性
企業との関係:元従業員,回答時の年齢:20歳-35歳
性別:女性,役職:正社員,該当時期:現在
「秘書の補佐で入社しましたが環境含め全てが最悪でした。未経験での応募ですが全く教育体制がありません。ただただキツイ言葉で叩かれます。研修という研修はなく、ただ早口で1~10までざーっと説明されてはいやって。という感じです。当然全てをメモし理解することはできず、再確認すると私何てゆった?と逆に聞き返されたり、私自身が無知な状態であったのもありましたが、毎日何度も何度も侮辱されながら仕事を覚えていくような感覚でした。面接の時から冷たい空気を感じでいましたが、その通りで会社全体の雰囲気も一体感はありません。みんな無表情です。他の社員にも冷たく接しろと言われます。残業は多いと聞いてはいましたが、だいたい22時半までは残業していて帰れる雰囲気はありません。ここで務めることにせず、心から本当に良かったと痛感してます。」

本件投稿3:

投稿者が書き込んだ投稿者の属性
企業との関係:元従業員,回答時の年齢:20歳-35歳
性別:男性,役職:正社員,該当時期:2000年~2005年頃
「ちょっとした仕事上のミスやノルマ未達が罰金として直接給料に反映されます。家庭持ちの方は安定収入が見込めませんので、よほどの自信がないと続けていくことは難しいと思います。酷い場合だと月の手取りが10万円を切る時があります。」

【裁判所の判断】

本判決は、上記の記事につき、以下のとおり、原告(派遣会社)の社会的評価を低下させるものであると判断しました。

(本件投稿1について)

「ア 第1文には,「結果が全て」という表現が存するところ,一般読者の普通の注意と読み方からすれば,原告においては業務の過程における努力等の勤務態度や結果に影響を与えた外的要因が考慮されず,結果のみが重視されるとの事実を摘示するものということができ,一般読者に対し,原告においては厳しい人事評価手法をとっているとの印象を与えるものであり,原告の社会的評価を低下させるものと認められる。 イ 第2文も,一般読者の普通の注意と読み方からすれば,書類の作成ミス等があると,教育的な指導や職務上の注意にとどまらず,金銭上の負担を求められるとの事実を摘示するものといえ,一般読者に対し,職務上の失敗に対し,厳しい姿勢がとられているとの印象を与えるものであり,原告の社会的評価を低下させるものと認められる(「すぐ罰金」との表現に照らせば,被告が主張するように書類作成上のミスがあることが業績評価を介して賃金の査定に影響するとの趣旨に読むことは困難である。)。 ウ 第3文は,一般読者の普通の注意と読み方からすれば,罰金の徴収が一定額に達したら違法になるとの一般的な指摘とそのことに対する原告の理解の有無に関する投稿者の疑問を表したものと読むことができ,必ずしも,原告が違法になる程度の罰金を徴収しているとの事実を摘示するものと受け止められるものとはいえないから,原告の社会的評価を低下させることが明らかとはいえない。」

(本件投稿2について)

「第1文から第6文までは,原告の新人に対する教育方法に関する記述であるが,まず,第2文については,「体制」という言葉が用いられているが,第3文以後の文章にも照らし,一般読者の普通の注意と読み方からすれば,むしろOJTを適切に行うような教育態勢がとられていないとの事実を摘示するものと読むことができる。また,第3文は,原告の指導担当者が指導に当たり厳しい言葉で叱責すること,第4文から第6文前半部分までは,同担当者が新人の理解の程度を確かめて,それに応じて指導をするということをしないとの事実を摘示するものであるといえる。  そして,上記各文章は,第1文及び第6文後半部分の意見論評と併せて,全体として,一般読者に対し,原告の教育方法が過酷なものであるとの印象を与えるものであるから,原告の社会的評価を低下させるものと認められる。 イ 第7文から第9文までは,第7文の冷たい空気を感じていたとの表現に照らしても,第1文から第6文までに示された投稿者の経験を踏まえた原告の社内の雰囲気に関する投稿者の意見論評を示すものということができる(なお,第8文及び第9文についても,社員に活気がなく,互いに助け合うような雰囲気がないとの投稿者の主観に基づく意見論評を示すものと解するのが相当である。)。そして,これらは,一般読者に対し,原告の職場においては,良好な勤務環境の前提としての一体感のある相互協力的な人間関係が構築されていないとの印象を与えるものであるから,原告の社会的評価を低下させるものである。 ウ 第10文は,一般読者の普通の注意と読み方からすれば,原告の職場では,通常,午後10時30分まで残業しているとの事実を摘示するほか,仕事がない者も先に帰ることがはばかられるような社内の雰囲気であるとの投稿者の意見論評を示すものといえるところ,これらは,一般読者に対し,原告においては長時間労働が常態化しているとの印象を与えるものであり,原告の社会的評価を低下させるものである。 エ 第11文は,それまでの文章を踏まえた,原告の職場環境が勤務に適したものではないとの投稿者の意見論評であり,それまでの文章と併せて,原告の社会的評価を低下させるものということができる。」

(本件投稿3について)

「ア 第1文は,一般読者の普通の注意と読み方からすれば,軽微なミスや職務上の目標の不達成が業績評価を介することなく,直接金銭の負担につながるとの事実を摘示するものであり,本件投稿1と同様,原告の社会的評価を低下させるものである。 イ 第2文も,原告における月々の給与の額が業務の状況によって大きく変化し,家庭を持つ者が一般的に期待する程度の給与の安定性も確保されないとの事実を摘示するものであり,一般読者に対し,原告の給与体系が不安定で従業員の家計に適さないとの印象を与えるものであり,原告の社会的評価を低下させるものである。 ウ 第3文については,確かに,投稿者の具体的な労働条件及び勤務形態は記載されていないが,その属性として「正社員」との書き込みがされていることに照らせば,一般読者の普通の注意と読み方からすれば,1日8時間で月に160時間程度の労働をする者の手取りが月10万円を切るときがあるとの事実を摘示したものということができ,一般読者に対し,1か月の手取り給与額が極めて低額になることがあるとの印象を受けるものといえるから,原告の社会的評価を低下させるものということができる。」

そのうえで、本件投稿1及び3については、違法性阻却事由が存するとうかがわせる事情は存しないとし、原告(派遣会社)の発信者情報開示請求を認めました。他方で、本件投稿2については、違法性阻却事由が存するとうかがわせる事情が存しないということはできないとし、原告(派遣会社)の発信者情報開示請求を認めませんでした

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