爆サイの事例の紹介

爆サイの事例の紹介
事例(1)
「サビ残」「かなりブラック」と書き込まれた!
東京地判令和2年12月24日(令和1年(ワ)第21424号)
本件においては、インターネット上の電子掲示板である爆サイ.Comの〇〇版に投稿された匿名の投稿によって、原告(会社)の名誉権が侵害され、原告(会社)の発信者情報開示請求が認められるかが争点となりました。
【問題となった表現】本件投稿(概要):原告の従業員が「サビ残」をしており「かなりブラック」と指摘した。
【裁判所の判断】
まず、本判決は、本件投稿の同定可能性を認め、本件投稿につき、以下のとおり、原告(会社)の社会的評価を低下させるものであると判断しました。
(本件投稿について)
「本件投稿は,原告の従業員が「サビ残」をしており「かなりブラック」と指摘しており,一般の閲覧者の普通の注意と読み方を基準にすると,原告ではサービス残業(本来支払われるべき残業代が支払われない時間外労働(残業)のこと)が横行しており「ブラック」企業(労働基準法を遵守せず違法な労務管理を行っている会社)であるという印象を与えるものといえ,原告の社会的評価を低下させ名誉権を侵害するものである。
そのうえで、本件投稿を行ったIPアドレスにかかる契約者からの回答書に記載された、「本件投稿の内容は、少なくとも投稿者の友人の経験を踏まえた評価として真実である」旨の主張について、真実性及び真実相当性を認めず、原告(会社)の発信者情報開示請求を認めました。
事例(2)
「××の社長って虚言癖で有名だよね」「■■協会□□部長の会社が健康診断未実施だとよ」と書き込まれた!
東京地判令和4年3月25日(令和3年(ワ)第24858号)
本件においては、インターネット上の電子掲示板である爆サイ.Comの△△版に投稿された以下の匿名の各記事によって、原告(運送会社)の名誉権が侵害され、原告(運送会社)の発信者情報開示請求が認められるかが争点となりました。
【問題となった表現】(一部記載を変更しております)
本件記事1-1:
「××の社長って虚言癖で有名だよね」
本件記事1-2:
「≫〇〇
お勧めはできません、アホを通り越してます、ドMまたはハラスメントを受けても平気な方、割り切って文句も言わず仕事ができる方(イエスマン)自分の意見を言わない方なら多少は持ちます、まともな良心をお持ちの方はだいたい自分自身との葛藤になるでしょうね、モラルが崩壊してるんで効率や合理性などは一切無視の会社ですよ」
本件記事1-3:
「××ってまだあったんだね、それだけ世の中がまともに機能していない証拠ですね、何でもありってことですね」
本件記事1-4:
「■■協会□□部長のところですよね?そこに労基や陸運?大問題ですね、まぁ世の中がその程度って事ですね」
本件記事1-5:
「■■協会□□部長の会社が健康診断未実施だとよ」
本件記事2-1:
「×〇運輸といえばモラハラ」
本件記事2-2:
「××の社長は精神病なのかな、病人は自覚症状がないことがあるらしいからね、自覚あれば悪質だし、どっちにしろアウト」
本件記事3-1:
(スレッドの表題が「入社してはいけない運送会社は?」であることに対し)
「××運輸」
本件記事3-2:
「経営者がイカレポンチ精神異常者で犯罪者夫婦の▲▲の××運輸」
本件記事4-1:
(スレッドの表題が「◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇」(「クソ会社」という不穏当な表現や不穏当な絵文字を含む表題)であることに対し)
「×〇運輸」
【裁判所の判断】
本判決は上記の各記事について同定可能性を認め、本件記事1-1、1-2、1-5、2-2及び3-2について、以下のとおり、原告(運送会社)の社会的評価を低下させるものであると判断しました(同定可能性が否定された記事は割愛しています)。
(本件記事1-1について)
「一般の閲覧者の普通の注意と閲覧の仕方を基準にすると,本件記事1-1は,原告代表者が虚言癖のあることで有名である旨の事実を摘示しているものと認められ,一般の閲覧者には,原告につき,虚言癖のある代表者がいるような信用性の低い会社であるという印象を与えるから,原告の社会的評価を低下させるものということができる。これに対し,被告は,〔1〕転職検討者は原告の様々な情報を収集して検討するから,原告への否定的な評価の記載があったとしても,原告の営業権の侵害には直結しない,〔2〕インターネット上の掲示板には出所不明の戯言,推測,噂が出回っていることは顕著な事実であり,具体的な根拠を述べない投稿を読んだ通常の閲覧者が原告の名誉権や営業権の侵害を認めるような評価を抱くとは考えられない,〔3〕原告との取引や就職をためらわせた根拠はないし,収益減が生じたことの立証もないと主張する。しかし,〔1〕個人による否定的な評価にとどまらず,違法行為や社会通念上不相当とされる行為を摘示するものについては原告に就職しない方向の検討材料として利用されるから,原告の名誉権又は営業権の侵害となり得ること,〔2〕インターネット上の電子掲示板への投稿が具体的な根拠を述べないものであるからといって,一般の閲覧者が直ちに信用性を有しないと評価するとは限らないこと,〔3〕社会的評価が低下したと認めるに当たっては,取引や就職の減少又は収益減といった実損害が発生する必要まではないことに照らせば,被告の主張はいずれも採用することができない(なお,本件記事1-1以外の本件各記事についても同様である。)。」
(本件記事1-2について)
「一般の閲覧者の普通の注意と閲覧の仕方を基準にすると,本件記事1-2は,少なくとも,原告が従業員との関係では効率性や合理性を一切無視する社風の会社である旨の事実を摘示しているものと認められ,一般の閲覧者には,原告につき,従業員の職場環境が悪い会社であるという印象を与えるから,原告の社会的評価を低下させるものということができる。」
(本件記事1-3について)
「一般の閲覧者の普通の注意と閲覧の仕方を基準にすると,本件記事1-3は,原告に関する具体的な事実が記載されていないから,証拠等をもってその存否を決することが可能な特定の事項を主張するものとはいえず,前提となる事実を摘示することなく,意見ないし論評を表明したものであると認められる。そして,本件記事1-3は,原告がまだ存在するのは世の中がまともに機能していないためである旨の投稿者個人の価値観に基づく否定的な評価が記載されているにとどまるから,これによって原告の社会的評価が低下したとまでは認めることができない。また,原告の営業権が侵害されたとも認められない。」
(本件1-4について)
「一般の閲覧者の普通の注意と閲覧の仕方を基準にすると,本件記事1-4は,その直前に投稿された,本件スレッド1の△□△番及び△◆△番の記事で,原告が労働基準監督署(又は地方運輸局(かつての陸運局))の指導により厳密な就業規則を定めようとしている旨が記載されたこと(甲20の3)につき,大きな問題がある,世の中がその程度であるとの評価を記載したものにすぎないから,証拠等をもってその存否を決することが可能な特定の事項を主張するものとはいえず,前提となる事実を摘示することなく,意見ないし論評を表明したものであると認められる。そして,本件記事1-4は,原告に対してだけではなく世間一般に対しての投稿者個人の意見が記載されているにとどまるから,これによって原告の社会的評価が低下したとまでは認めることができない。また,原告の営業権が侵害されたとも認められない。」
(本件記事1-5について)
「一般の閲覧者の普通の注意と閲覧の仕方を基準にすると,本件記事1-5は,原告が従業員の健康診断を実施していない旨の事実を摘示しているものと認められ,一般の閲覧者には,原告が労働関係の法令を遵守しない会社であるという印象を与えるから,原告の社会的評価を低下させるものということができる。」
(本件記事2-1について)
「一般の閲覧者の普通の注意と閲覧の仕方を基準にすると,本件記事2-1は,原告からはモラハラが想像される旨が記載されたものと認められる。 そして,本件記事2-1は,原告に関する具体的な事実が記載されていないから,証拠等をもってその存否を決することが可能な特定の事項を主張するものとはいえず,前提となる事実を摘示することなく,意見ないし論評を表明したものであると認められるところ,「モラハラ」とされる行為には様々な行為があり,悪質性の高いものから低いものまでみられる。そのため,「原告といえばモラハラ」というだけではその内容があまりに抽象的であり,投稿者個人の価値観に基づく否定的な評価が記載されているにとどまるから,これによって原告の社会的評価が低下したとまでは認めることができない。また,原告の営業権が侵害されたとも認められない。」
(本件記事2-2について)
「一般の閲覧者の普通の注意と閲覧の仕方を基準にすると,本件記事2-2は,原告代表者が精神的な疾患により又は自覚しながらモラハラ行為をしていることが疑われる旨の事実を摘示しているものと認められる。そして,モラハラ行為の評価については前記アのとおりであるとしても,原告代表者に精神的な疾患が疑われる旨の記載がある以上,一般の閲覧者には,原告につき,問題のある代表者がいる信用できない会社であるという印象を与えるから,原告の社会的評価を低下させるものということができる。」
(本件記事3-1について)
「本件スレッド3の表題が「入社してはいけない運送会社は?」である以上,表題に反する内容の記載が加えられていない限り,本件スレッド3内の記事に記載された事業者は入社すべきではない事業者として記載されていると解するのが自然であるから,一般の閲覧者の普通の注意と閲覧の仕方を基準にすると,「××運輸」との記載しかない本件記事3-1は,原告が入社すべきではない事業者である旨が記載されたものと認められる。そして,本件記事3-1は,原告に関する具体的な事実が記載されていないから,証拠等をもってその存否を決することが可能な特定の事項を主張するものとはいえず,前提となる事実を摘示することなく,意見ないし論評を表明したものであると認められるところ,入社すべきではない理由が明らかではなく,投稿者個人の価値観に基づく否定的な評価が記載されているにとどまるから,これによって原告の社会的評価が低下したとまでは認めることができない。また,原告の営業権が侵害されたとも認められない。」
(本件記事3-2について)
「一般の閲覧者の普通の注意と閲覧の仕方を基準にすると,本件記事3-2は,原告代表者の夫婦が精神的に異常であるといえ,犯罪者でもある旨の事実を摘示しているものと認められ,一般の閲覧者には,原告につき,原告代表者の夫婦が精神的な疾患を有しているか,犯罪行為を行っているような悪質な会社であるという印象を与えるから,原告の社会的評価を低下させるものということができる。」
(本件記事4-1について)
「本件スレッド4の表題が「◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇」である以上,表題に反する内容の記載が加えられていない限り,本件スレッド4内の記事に記載された事業者は「クソ会社」として記載されていると解するのが自然であるから,一般の閲覧者の普通の注意と閲覧の仕方を基準にすると,「×○運輸」との記載しかない本件記事4-1は,原告が「クソ会社」である旨が記載されたものと認められる。 そして,本件記事4-1は,原告に関する具体的な事実が記載されていないから,証拠等をもってその存否を決することが可能な特定の事項を主張するものとはいえず,前提となる事実を摘示することなく,意見ないし論評を表明したものであると認められるところ,「クソ会社」(悪質な会社を意味すると考えられる。)という不穏当な表現や不穏当な絵文字を含む表題の本件スレッド4に投稿された記事であるとはいえ,原告と同定できる会社名を記載しただけではその内容があまりに抽象的であり,投稿者個人の価値観に基づく否定的な評価が記載されているにとどまるから,これによって原告の社会的評価が低下したとまでは認めることができない。また,原告の営業権が侵害されたとも認められない。」
そのうえで、原告(運送会社)の社会的評価を低下させることが認められた本件記事1-1、1-2、1-5、2-2及び3-2について、違法性阻却事由があるとは認められないとし、原告(運送会社)の発信者情報開示請求を認めました。



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事例(3)
「現在の奴隷制度」「転職しても同じ 奴隷は奴隷」と書き込まれた!
東京地判平成30年7月2日(平成30年(ワ)第6474号)
本件においては、インターネット上の電子掲示板である爆サイ.Comに投稿された以下の匿名の投稿によって、原告(加工販売会社)の名誉権が侵害され、原告(加工販売会社)の発信者情報開示請求が認められるかが争点となりました。
【問題となった表現】
本件投稿1:
「クソ会社!とことんやってやる!!」
本件投稿2:
「現在の奴隷制度」
本件投稿3:
「ここ?社員は なぜ転職しないのですか?」
本件投稿4:
「転職しても同じ 奴隷は奴隷」
【裁判所の判断】
本判決は、本件スレッド(原告の名称が表示されている)に投稿された本件投稿2、4について、以下のとおり、原告(加工販売会社)の社会的評価を低下させるものであると判断しました。
(本件投稿2、4について)
「本件スレッドのタイトルの下には,「いつも求人でてますが,どうなんですか?」という投稿が貼り付けられていること,本件スレッド内には,「奴隷募集」,「募集してて恥ずかしく無いんかい!恥知らず。」,「社員は使い捨ての考えはやめた方が良い。都合よく捨てれる奴ばかりじゃないよ。」,「サービス残業と工場長…●●の退職原因ツートップ。」,「残業代払え」,「入社して直ぐに給料を誤魔化す会社と聞かされた。50代が一人も居なかったのでおかしいと思い聞いてみた所大体1年で辞めてく人が多いので居ないとの事でした。」,「バックレ会社!弁護士と相談中!証拠がある方が勝ち!」,「北朝鮮ごっこ。」,「もう終わりだ!存続危うし!」,「キングオブブラック。」,「そんなに労基に来て欲しいんだ。」,「その人は多分退職してます。年10人以上退職者が居るんで。社員数20人位しか居ないのに。ブラック。」,「離職率ハンパない。自分等の異常性に気付けよ。」,「サービス残業に興味のある方は応募してみて下さい。」,「社員が知らない就業規則。」,「常に腕組み常に監視常に密告。」,「ほとんどの人は初日に気がつきます。そして,一週間もすれば確信に変わります。ブラックバンザイ。」,「OBにも余分に保険料払ってた人居たんじゃなかろうか?ここは絶対言わないから払い損。やっぱりブラック。」などといった内容が投稿されていることが認められる。
これを受けて,本件投稿2及び同4は,それぞれ「現在の奴隷制度」,「奴隷は奴隷」という内容を投稿するものであって,それ以前に投稿された上記各投稿内容と併せて考慮すると,一般の読者の普通の注意と読み方を基準とすれば,原告が労働関係法規に違反する態様で従業員に過酷な労働を強いているという事実を摘示するものと認めるのが相当である。そうすると,本件投稿2及び同4は,原告の社会的評価を低下させるものであることは明らかである。」
(本件投稿1について)
「本件投稿1の内容は,「クソ会社!とことんやってやる!」という抽象的な表現振りであり,その根拠を具体的に示すものではないから,それ以前に投稿された上記各投稿内容と併せて考慮しても,一般の読者の普通の注意と読み方を基準とすれば,誹謗中傷の域を出ない投稿であると読解するものと認められ,原告の社会的評価を低下させるものと認めることはできない。」
(本件投稿3について)
「本件投稿3の内容も,「ここ?社員は なぜ転職しないのですか?」というもので,それ以前に投稿された上記各投稿内容と併せて考慮しても,一般の読者の普通の注意と読み方を基準とすれば,単に質問をしている投稿であると読解するものと認められ,原告の社会的評価を低下させるものと認めることはできない。」
そのうえで、本件投稿2、4に違法性阻却事由の存在をうかがわせる事情は存在しないとし、原告(加工販売会社)の発信者情報開示請求を認めました。
事例(4)
「残業代は出ませんから社員はサービスでやってます」「取引会社からNo.2にだいぶ金流れてる」と書き込まれた!
東京地判平成30年6月29日(平成30年(ワ)第5504号)
本件においては、インターネット上の電子掲示板である爆サイ.Comに投稿された以下の匿名の投稿によって、原告(廃棄物処理業者)の名誉権が侵害され、原告(廃棄物処理業者)の発信者情報開示請求が認められるかが争点となりました。
【問題となった表現】
第2事件各投稿(一部抜粋):
1「給料悪い残業つかんブラック企業なのにそこで働くとか奴隷じゃん」
2「ブラック企業で働く人間がいる限りブラック企業はなくならない。ブラック企業は経営をしていく上で絶対的に有利である。そうなるとグリーンな会社は潰れていくんよ。●●社員は貧乏でバカで精神的に弱いのばっかじゃけん一生気付かんのんじゃろうな(笑)ホンマ死ねばいいのに」
3「ブラック企業と断定するのに一番わかりやすいサービス残業ですか?おたくの会社はいろいろと闇の多い会社ですからね~○○ワースト1位のブラック企業って噂ですよ~」
4「噂じゃ社長の知らないとこでNo.2が問題をおこして会社が悲惨になってるとかって噂ですよ~」
5「取引会社からNo.2にだいぶ金流れてる」
6「残業はタイムカードをうってからのサービス残業が当たり前で辞める社員には有給休暇を使わせず退職金も払わず辞めてから二年経って退職者の貰える期限がきれたら懐に入れる」
7「残業代は出ませんから社員はサービスでやってます」
8「●●のサービス残業」「●●は貧乏会社、残業代払えない」
【裁判所の判断】
本判決は上記の投稿内容について、以下のとおり、原告(廃棄物処理業者)の社会的評価を低下させるものであると判断しました。
(第2事件各投稿について)
「第2事件各投稿の記載内容は,別紙投稿記事目録2記載1ないし8のとおりであるところ,第2事件投稿1の「給料悪い残業つかんブラック企業なのにそこで働くとか奴隷じゃん」の記載,第2事件投稿2の「ブラック企業で働く人間がいる限りブラック企業はなくならない。ブラック企業は経営をしていく上で絶対に有利である。そうなるとグリーンな会社は潰れていくんよ。●●社員は貧乏でバカで精神的に弱いのばっかじゃけん一生気付かんのんじゃろうな(笑)ホンマ死ねばいいのに」との記載,第2事件投稿3の「ブラック企業と断定するのに一番わかりやすいサービス残業ですか?おたくの会社はいろいろと闇の多い会社ですからね~○○ワースト1位のブラック企業って噂ですよ~」との記載,第2事件投稿6の「残業はタイムカードをうってからのサービス残業が当たり前で辞める社員には有給休暇を使わせず退職金も払わず辞めてから二年経って退職者の貰える期限がきれたら懐に入れる」との記載,第2事件投稿7の「残業代は出ませんから社員はサービスでやってます」との記載,第2事件投稿8の「●●のサービス残業」「●●は貧乏会社,残業代払えない」との記載は,いずれもこれらを閲覧した一般人において,原告会社が従業員に時間外労働をさせながら,労働基準法37条1項所定の時間外の割増賃金を従業員に支払わない企業であると受け止めるものといえ,取引先や就職先として適当ではないのではないかとの印象を与えるものであり,原告会社の社会的評価を低下させるものと認められる。」 「また,第2事件投稿4の「噂じゃ社長の知らないとこでNo.2が問題をおこして会社が悲惨になってるとかって噂ですよ~」との記載,第2事件投稿5の「取引会社からNo.2にだいぶ金流れてる」との記載は,これを閲覧した一般人において,原告会社は幹部が法令を遵守せず,資金を不法に領得するなどの問題を起こしている企業であると受け止めるものといえ,取引先や就職先として適当ではないのではないかとの印象を与えるものであり,原告会社の社会的評価を低下させるものと認められる。」
そのうえで、第2事件各投稿についての違法性阻却事由の存在はうかがわれないとし、原告(廃棄物処理業者)の発信者情報開示請求を認めました。



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事例(5)
「ブラックが止まりません。もう辞めたい。」「人数の割に人間関係やばいね。パワハラ、不倫多数。」と書き込まれた!
東京地判平成30年4月19日(平成29年(ワ)第41103号)
本件においては、インターネット上の電子掲示板である爆サイ.Comに投稿された以下の匿名の各記事によって、原告(会社)の名誉権が侵害され、原告(会社)の発信者情報開示請求が認められるかが争点となりました。
【問題となった表現】
本件各記事:
「>>◇◇◇ 出ないそうですよ。」(本件記事☆☆☆番)
(※同◇◇◇番は、「ボーナスイクラもらえますか」という投稿。)
「営業、製造、事務員、技術、は人が入ってもすぐ辞めてしまい、常に求人に出ている会社である。」(同○○○番)
「ブラックが止まりません。もう辞めたい。」(同●●●番)
「人数の割に人間関係やばいね。パワハラ、不倫多数。」(同◎◎◎番)
【裁判所の判断】
本判決は、本件各記事について、以下のとおり、原告(会社)の社会的評価を低下させるものであると判断しました。
(本件各記事について)
「本件各記事は,原告においてはボーナスが支給されない旨(本件記事☆☆☆番),原告の営業,製造,事務員,技術に採用された従業員が入社後すぐに辞める旨(同○○○番),原告が劣悪な環境での労働を強いる,いわゆる「ブラック企業」である旨(同●●●番)及び原告においてパワーハラスメントや不倫が多数発生している旨(同◎◎◎番)などの事実を摘示するものであり,一般の閲覧者の普通の注意と読み方からすれば,いずれも,原告の労働条件・労働環境について悪印象を与え,原告の社会的評価を下げるものであるから,名誉毀損に当たるというべきである。
なお,被告は,匿名掲示板においては,投稿内容の信用性を補完するような具体的な事実摘示があるなどの事情がなければ,一般の閲覧者において直ちにその記事の内容を信用するものではないと主張するが,一般の閲覧者は,前後の投稿内容から得られる情報をも基礎として評価を形成するものと解されるところ,証拠《甲3》によれば,本件掲示板における前後の投稿には,具体的な事実摘示も多数含まれていることが認められるところであって,本件各記事の信用性は相当程度高いものと受け止められる可能性があることは明らかである。」
そのうえで、本件各記事につき違法性阻却事由の存在をうかがわせる事情は存在しないとし、原告(会社)の発信者情報開示請求を認めました。
事例(6)
「●●はどす黒く曇った会社ですよ!社員達は涙の雨を流してますよ」「社員全員ゴミの集まり!救いの余地のない負け犬集団!!」と書き込まれた!
東京地判平成30年3月8日(平成29年(ワ)第41637号)
本件においては、インターネット上の電子掲示板である爆サイ.Comに投稿された以下の匿名の各記事によって、原告(廃棄物処理業者)の名誉権が侵害され、原告(廃棄物処理業者)の発信者情報開示請求が認められるかが争点となりました。
【問題となった表現】
本件各記事(一部抜粋):
「市に内緒で悪い事、長年してたのがばれて、市からの入札一切停止処分」(□□□)
「●●社員には盆など関係ありませんから!公休も有休も名ばかりですし退職金も自分から動かないともらえません」(△△△)
「有休を使うにも会社側から有休使う段取りなどしてはくれません」、「退職金も中小企業退職金協会に自分から連絡をして退職金をもらえるように会社側に促してもらう必要があります」、「●●は自らが動かないと労働者の権利すら奪おうとしてくる会社です」(▽▽▽)
「●●はどす黒く曇った会社ですよ!社員達は涙の雨を流してますよ」(◇◇◇)
「不祥事やスキャンダル、黒い噂が行き交うブラックファクトリーである」(◎◎◎)
「●●はあんなクズがNo.2か(笑)さすが○○代表のブラック企業!社員全員ゴミの集まり!救いの余地のない負け犬集団!!」(☆☆☆)
【裁判所の判断】
本判決は、本件各記事について、以下のとおり、原告(廃棄物処理業者)の社会的評価を低下させるものであると判断しました。
(本件各記事について)
「本件各記事の内容は前提事実(2)のとおりであるが,具体的には,「市に内緒で悪い事,長年してたのがばれて,市からの入札一切停止処分」(□□□),「●●社員には盆など関係ありませんから!公休も有休も名ばかりですし退職金も自分から動かないともらえません」(△△△),「有休を使うにも会社側から有休使う段取りなどしてはくれません」,「退職金も中小企業退職金協会に自分から連絡をして退職金をもらえるように会社側に促してもらう必要があります」,「●●は自ら動かないと労働者の権利すら奪おうとしてくる会社です」(▽▽▽)といった事実を摘示するものである。そして,その余の記事(◇◇◇,◎◎◎,☆☆☆)も,上記各記事が投稿されたスレッドと同一の「○○○○○○○○」という標題による一連のスレッド上にあり,上記各記事が掲載されていることを前提として,「●●はどす黒く曇った会社ですよ!社員達は涙の雨を流してますよ」(◇◇◇),「不祥事やスキャンダル,黒い噂が行き交うブラックファクトリーである」(◎◎◎),「●●はあんなクズがNo.2か(笑)さすが○○代表のブラック企業!社員全員ゴミの集まり!救いの余地のない負け犬集団!!」(☆☆☆)などと摘示するものである。
これらの投稿内容に照らすと,一般読者の普通の注意と読み方とを基準とすれば,本件各記事は,原告について,地方公共団体による入札において不正を行って処分を受けたこと(□□□),理由なく従業員に所定の休暇を取得させなかったり退職手当を支給しなかったりしていること(△△△),労働関係法令に違反して労働者の権利を侵害していること(▽▽▽,◇◇◇),企業として不祥事を続発させていること(◎◎◎),原告の経営者や従業員の能力が極めて低いこと(☆☆☆)を認識させ得るものと認められる。そして,原告が上記のような法令違反行為や不正行為を行っているといった認識が伝播すれば,原告の社会的評価が低下することは優に認められる。
そうすると,本件各記事はいずれも原告の名誉権を侵害するものと認められる。」
そのうえで、本件各記事につき違法性阻却事由は存しないとし、原告(廃棄物処理業者)の発信者情報開示請求を認めました。



お客様の声はこちら。
事例(7)
「知り合いが●●だから、聞いた事ある(笑)若手が何人も精神病でやめていくって。」と書き込まれた!
東京地判平成30年2月27日(平成29年(ワ)第29323号)
本件においては、インターネット上の電子掲示板である爆サイ.Comに投稿された以下の匿名の記事によって、原告(事務機器販売会社)の名誉権が侵害され、原告(事務機器販売会社)の発信者情報開示請求が認められるかが争点となりました。
【問題となった表現】
本件記事(1)1:
「かなりね(笑)
きっと。
知り合いが●●だから、聞いた事ある(笑)
若手が何人も精神病でやめていくって。」
【裁判所の判断】
本判決は、本件記事(1)1につき、以下のとおり、原告(事務機器販売会社)の社会的評価を低下させるものであると判断しました。
(本件記事(1)1について)
「一般閲読者(ただし,○○市に関係を有する者。以下同じ。)の注意と読み方を基準とし,「◇◇◇◇◇◇◇◇」というスレッドタイトルをも考慮すると,本件記事(1)1は,原告の労働環境が悪く,それが原因で若い従業員複数名が精神病を発症した旨の事実を摘示したものと認められる。
本件記事(1)1において,労働環境の具体的内容や,労働環境の悪さと従業員における精神病発症との因果関係を基礎づける具体的事実は摘示されておらず,前記の摘示事実は抽象度が高いことは否定できないが,事実として認識することはできるから,それで足りるというべきである。
そして,その摘示事実は,原告の社会的評価を低下させるものであると認められる。」
そのうえで、本件記事(1)1について、違法性阻却事由は存在しないと認め、原告(事務機器販売会社)の発信者情報開示請求を認めました。
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