グーグル(病院・クリニック・その他)の口コミの事例の紹介

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病院・クリニックの口コミの事例の紹介




事例 1-1

「流れ作業の診察でこちらの話を聞かず全然丁寧じゃない。おまけにウィルス性の手荒れをただの手荒れと誤診された。」と書き込まれた!

東京地判令和3年11月16日(令和2年(ワ)第28453号)


本件においては、インターネット上の地図情報サイトである「Googleマップ」に投稿された以下の匿名の口コミによって、原告(XX皮膚科こと医師)の名誉権が侵害され、XX皮膚科こと医師の発信者情報開示請求が認められるかが争点となりました。
【問題となった表現】本件投稿:「流れ作業の診察でこちらの話を聞かず全然丁寧じゃない。おまけにウィルス性の手荒れをただの手荒れと誤診された。」
【裁判所の判断】本判決は上記の投稿内容について、以下のとおり、原告(XX皮膚科こと医師)の社会的評価を低下させるものであると判断しました。(本件投稿について)

「一般の閲覧者は必ずしも皮膚疾患やその治療に関する専門的知識を有するものではないから,本件サイトを閲覧する一般閲覧者の通常の注意と読み方を基準とした場合,本件投稿における「ウィルス性の手荒れをただの手荒れと誤診された。」との記載部分は,原告が,本件病院を診察で訪れた患者につき,ウィルスが原因で手荒れが生じていたにも関わらず,これを看過し,ただの手荒れと誤診したとの事実を摘示するものと認めることができる。

 そして,上記記載部分には原告による誤診があったとの事実につきある程度の具体的な事実の記載が伴っていること,同記載部分の前には,「流れ作業の診察でこちらの話を聞かず全然丁寧じゃない。」などとの記載があることも併せ考慮すると,上記摘示事実は,医師である原告の社会的評価を低下させるに足るものということができる。」

そのうえで、本件投稿に係る違法性阻却事由の存在はうかがわれないとし、原告(XX皮膚科こと医師)の発信者情報開示請求を認めました

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事例 1-2
「不審に思って他の医院で見てもらったら他の神経の治療もめちゃくちゃならしく、全部やり直し。」と書き込まれた!

東京地判令和3年12月6日(令和3年(ワ)第1756号)

本件においては、インターネット上の地図情報サイトである「Googleマップ」に投稿された以下の匿名の口コミによって、原告(医療法人)の名誉権が侵害され、医療法人の発信者情報開示請求が認められるかが争点となりました。

【問題となった表現】

本件投稿:

「何本か神経の治療をしてもらって被せ物をしてもらったけれど、1ヶ月ほどで激痛が出た。
もう一度見てもらったら根の先にウミがあって痛んでいると言われた。直したんじゃないの?
不審に思って他の医院で見てもらったら他の神経の治療もめちゃくちゃならしく、全部やり直し。
2度と行きません。」

【裁判所の判断】

本判決は上記の投稿内容について、以下のとおり、原告(医療法人)の社会的評価を低下させるものであると判断しました

(本件投稿について)

「本件投稿は,一般の読者の普通の注意と読み方を基準とすると,投稿者が本件医院による神経を含む歯科治療を受けた後に痛みがでたために再度,本件医院を受診した際にその技能に不信感をもったことに加えて,「直したんじゃないの?不審に思って他の医院で見てもらったら他の神経の治療もめちゃくちゃならしく,全部やり直し」との部分について,投稿者が他の歯科医師の診療を受けたところ,歯科治療の専門家である他の歯科医師が本件医院による歯科治療の内容について極めて不適切である旨を述べた上,他の歯科医師による全面的な再治療を要したという事実を摘示するものであると認められ,本件医院の治療水準が客観的に極めて低いとの印象を与えるものであるから,原告の社会的評価を低下させるものと認められる。

 これに対して,被告は,名誉権侵害における社会的評価の低下は,医院や医師を選択する上で貴重な情報源となる口コミ投稿については,個別具体的な事情を勘案した上で,受忍限度を超える場合にのみ認められるべきであることを前提に,本件投稿について本件医院が他の歯科医院に比べて取り立てて劣悪な歯科医院であるとの印象を与えるものであるとは言い切れず,原告の社会的評価を低下させるものではない旨を主張するが,前記判示のとおり,本件投稿は,患者である投稿者が主観的に本件医院の治療に不信感をもった事実を摘示するにとどまらず,歯科治療の専門家である他の歯科医師が本件医院による歯科治療の内容が極めて不適切である旨を述べ,投稿者が全面的な再治療を要したという事実を摘示した点において,本件医院の治療水準が客観的に極めて低いとの印象を与えるものであったと認められるから,被告の主張は採用することができない。」

そのうえで、本件投稿に係る違法性阻却事由の存在をうかがわせる事情は存在しないとし、原告(医療法人)の発信者情報開示請求を認めました

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事例 1-3
「ドクターからの精神的圧力を楽しむことが可能な非常に珍しい心療内科。」と書き込まれた!

東京地判令和3年12月23日(令和2年(ワ)第7661号)

本件においては、インターネット上の地図情報サイトである「Googleマップ」に投稿された以下の匿名の口コミによって、原告(医師)の名誉権が侵害され、原告(医師)の発信者情報開示請求が認められるかが争点となりました。

【問題となった表現】

本件投稿:

「朝1番はドクターの機嫌が悪い日が多い気がしますのでおススメしません。
本日も患者さんが2人遅刻されたようでとてもご立腹でございました。
僕の診察には全く関係のないお話でございます。
患者からドクターへの気遣いを欠かすことが出来ません。
医療サービスを受けるというよりは、
ドクターからの精神的圧力を楽しむことが可能な非常に珍しい心療内科。」

【裁判所の判断】

本判決は上記の投稿内容について、以下のとおり、原告(医師)の社会的評価を低下させるものであると判断しました

(本件投稿について)

「一般読者の通常の注意と読み方を基準とすれば,本件投稿は,患者が2人遅刻したことで原告が非常に立腹していたとの事実,及び原告が本件病院の受診者に対して精神的圧力を加えているとの事実を摘示するものであり,本件投稿を読んだ一般読者に対し,原告が些細なことで腹を立て,患者に対して高圧的な態度で診療に臨む医師であるとの印象を抱かせるものといえる。そして,原告は,社交不安症,パニック症,うつ等の精神的に不安を抱える患者に対する医療サービスを提供する医師であり(甲3)、患者に対する接し方が医師としての評価を大きく左右することも踏まえると,本件投稿が,原告の社会的評価を低下させるものであることは明らかであるといえる。

(2)この点について,被告は,口コミサイトの性質や原告が医師であることを指摘し,本件投稿が原告の名誉を毀損するものと認められるためには,原告の社会的評価の低下の程度が受忍限度を超えるものであることを要する旨主張する。しかし,被告が指摘する事情は,社会的評価の低下の有無及び程度,違法性阻却事由等の判断において考慮されれば足り,本件のような発信者情報の開示請求において,あえて名誉毀損の成否に係る要件を加重しなければならない事情とは解し難い。また,被告は,本件投稿における摘示事実は,いずれも抽象的なものにすぎず,本件病院の医師の具体的な言動等については記載がないため,本件投稿の閲覧者は,本件投稿者が本件病院の医師の態度に不満を持っていたという事実を超えて,本件病院の医師に対する具体的な評価をすることはできない旨主張する。しかし,本件投稿における摘示事実は,前記説示のとおりであり,これらの事実が抽象的なものにとどまるとはいえず,本件投稿を読んだ一般読者に対して前記説示のとおりの印象を抱かせるものであることは,前記説示のとおりであるから,被告の主張は採用することができない。」

そのうえで、本件投稿における摘示事実が真実であることをうかがわせる事情は存在しないとし、原告(医師)の発信者情報開示請求を認めました

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事例 1-4
「口コミでも一件だけショートの女性は感じ悪くないなんて書いてありますが,きっと自分か部下に書かせた」と書き込まれた!

東京地判令和4年2月28日(令和3年(ワ)第24825号)

本件においては、インターネット上の地図情報サイトである「Googleマップ」に投稿された以下の匿名の口コミによって、原告(クリニックの従業員)の名誉権及び名誉感情が侵害され、原告(クリニックの従業員)の発信者情報開示請求が認められるかが争点となりました。

【問題となった表現】

本件投稿(一部抜粋):

「口コミでも一件だけショートの女性は感じ悪くないなんて書いてありますが、きっと自分か部下に書かせたんでしょうね。
他の受付、看護師、医師はとても感じが良いのに一人の方のせいで台無しだと思います。
どうせこの女性が口コミに対して返信してるんだろうから、返信はいりませんので。」

【裁判所の判断】

本判決は上記の投稿内容について、以下のとおり、原告(クリニックの従業員)の社会的評価を低下させるものであると判断しました。

(本件投稿について)

本件記事には,少なくとも,「口コミでも一件だけショートの女性は感じ悪くないなんて書いてありますが,きっと自分か部下に書かせた」,「この女性が口コミに対して返信してるんだろうから,返信はいりませんので。」との記載部分があり,推測ながら,原告が自分について「感じ悪くない」との投稿を自ら又は部下に命じて書かせた事実及び原告が口コミに対する返信している事実を断定的に摘示するものと認められる。 そして,一般の読者の普通の注意と読み方を基準として判断すれば,上記の内容をみた場合,原告の社会的評価を低下させるものと認められる。

そのうえで、本件投稿に係る違法性阻却事由の存在をうかがわせる事情も見当たらないとし、原告(クリニックの従業員)の(エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社に対する)発信者情報開示請求を認めました(なお、原告は、エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社への開示請求の前に、Google LLCへの開示仮処分命令を申し立てており、これも認められています)。

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その他の口コミの事例の紹介




事例 2-1
社長と面接官に「一回飲みに行こう,そしたら内定を出す」と言われた。そして飲みに行った。」、「「飲み会来てくれたら内定出す」という嘘を信じ」と書き込まれた!

東京地判令和3年5月6日(令和2年(ワ)第29332号)

本件においては、インターネット上の地図情報サイトである「Googleマップ」に投稿された以下の匿名の口コミによって、原告(会社の代表取締役)の名誉権が侵害され、原告(会社の代表取締役)の発信者情報開示請求が認められるかが争点となりました。

【問題となった表現】

本件投稿(一部抜粋):

「社長と面接官に「一回飲みに行こう,そしたら内定を出す」と言われた。そして飲みに行った。」、「「飲み会来てくれたら内定出す」という嘘を信じ」など

【裁判所の判断】

本判決は上記の投稿内容について、以下のとおり、原告(会社の代表取締役)の社会的評価を低下させるものであると判断しました。

(本件投稿について)

「被告は,本件投稿は,その筆致からすれば投稿者の主観的評価が含まれた個人的な意見,認識を表明したものに過ぎず,仮に事実摘示を伴うものだとしても必ずしも原告の社会的評価を低下させるものではないなどと主張する。

 しかしながら,上記アの記載部分については,「社長と面接官に「一回飲みに行こう,そしたら内定を出す」と言われた。そして飲みに行った。」,「「飲み会来てくれたら内定出す」という嘘を信じ」などとの記載があり,これらの記載部分は,他の記載部分も併せ読むと,原告において,本件会社の採用面接に来た本件発信者に対し,一回飲みに行ったら本件会社の採用を内定するとの約束をし,本件発信者は当該約束を信じて飲み会に行ったにも関わらず,約束を反故にされて採用内定がもらえなかったとの事実を摘示するものと認められ,また,当該事実が企業の代表者を務める原告の社会的評価を低下させるに足るものであることが明らかということができる。被告の上記主張は理由がない。」

そのうえで、本件投稿に係る違法性阻却事由の存在はうかがわれないとし、原告(会社の代表取締役)の発信者情報開示請求を認めました

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